【飲食店向け】無断キャンセルしたお客様にキャンセル料の請求はできる?嫌がらせのドタキャンへの対応は?

【飲食店向け】無断キャンセルしたお客様にキャンセル料の請求はできる?嫌がらせのドタキャンへの対応は?
目次

1 飲食店の予約の無断キャンセルによる被害

近年、飲食店予約用プラットフォームや飲食店のHP・SNSに設置されている予約システムが整備されていることが多くなっています。そのため、事前に飲食店を気軽に予約するケースが多くなっています。

飲食店側としても事前に顧客数の予測が立つため、材料の仕入れやスタッフのシフト調整がしやすくなっています。

予約が気軽に出来る一方で、無断キャンセルも気軽に行われてしまっています。

飲食店において予約の無断キャンセルによる被害は年間2000億円程度と推定されています。

※参照「No show(飲食店における無断キャンセル)対策レポート
2018 年 11 月 1 日 サービス産業の高付加価値化に向けた外部環境整備等に関する有識者勉強会

本記事では、無断キャンセル/ドタキャンをされた場合にキャンセル料を請求するためにはどのようにすれば良いのかを解説します。

飲食店運営事業者の皆様はぜひご参考にされてください。

2 無断キャンセルに対する損害賠償請求

(1) 飲食店と利用客の契約の成立時期及び契約の内容

飲食店と利用客との間では、特定の日時における予約が完了した時点で一定の契約が成立します。

例えば、一人5千円のコースを5人分予約した場合、飲食店は予約が完了した日時に一人5千円分のコースの飲食物と設備を提供する義務を負い、利用客はその飲食物と設備の利用の対価を支払う義務を負います

なお、アラカルトを選択している場合は、飲食店は予約日時に予約人数が飲食できるスペースを確保する義務と一定量の飲食物を提供する義務を負います。

コース料理でもアラカルトでも提供する飲食物の内容が事前に確定しているか否かの違いはありますが、予約の時点で契約が成立していること自体は同じです。

(2) 損害賠償請求の根拠

無断キャンセル/ドタキャンをされた場合には、利用客が飲食店との契約に違反したことを理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求を行うことができます。また、契約関係が無いケースにも広く適用可能な不法行為に基づく損害賠償請求を行うことも考えられます。

(3) 損害額

損害賠償請求を行った場合、いくら請求可能になるでしょうか。

まず、無断キャンセルによって無駄になってしまった食材費が損害となります。なお、他の利用客に流用することが出来た場合など食材が無駄にならなかった場合には、無駄になっていない部分は損害から控除されます。

次に、無断キャンセルによって本来は別の利用客が予約することで得られたであろう利益分の損害があります。これは専門用語で「機会損失」と呼びます。なお、利益額の算出は一般的な利益額となります。

更に、予約に対応するために用意したアルバイトの人件費も損害となります。貸し切りの予約の場合、無断キャンセルさせるとアルバイトの流用が出来ないため、人件費が全て損害となります。一方で、他にも利用客がいる場合には全てが損害とは出来ず、具体的な損害額の算定は難しいものとなります。

3 無断キャンセルに対する予防策

(1)予約時にキャンセル料の支払の合意を得る

飲食店の予約プラットフォームやHPやSNSに予約フォームを設置している場合には、予約を申し込む際の画面にキャンセル料が発生する条件とその金額を明記するようにしましょう。

これらが明記されていることで、キャンセル料の請求がしやすくなりますし、請求をされた利用客としても反論がしにくくなります。

実際にキャンセル料の請求には手間暇がかかるため、無断キャンセルに対する損害賠償請求を行うよりも、予約をキャンセルし、他の利用客を入れた方が売上/利益の観点からは経済合理的であることも多いです。

そのため、「予約時間を15分以上経過した場合にはご予約は自動的にキャンセルいたします」といった予約の自動キャンセル条件を設定することも実務上は有用です。

(2)予約日時のリマインドを入れる

予約日時が近づいてきた段階で、メール・電話で予約のリマインドを入れることもおすすめです。

万が一、予約をキャンセルする必要がある場合には連絡が来る可能性が高まりますし、予約を忘れている利用客への記憶喚起にもなります。

大人数の予約である場合には無断キャンセルによる損害が大きいため、念のため電話でも予約の変更可能性が無いか確認し、キャンセルする場合にはキャンセル料が発生することを伝えるのがよいでしょう。また、実際に電話をすることで、電話番号が実際に通じるものであるかの確認もできます。

(2)デポジット制度(前金制度)を導入する

無断キャンセルは予約した店舗に対して何もアクションする必要が無いことから気軽に行われてしまっています。

そのため、事前に一部または全額の料金を入金させておくことで、キャンセルする場合には返金手続きが必要となるようにし、キャンセルすることに対する手間を発生させることも有用です。

ただし、デポジットにより予約を避ける利用客が一定数発生する可能性が高い点には注意が必要です。

4 飲食店における顧問弁護士の必要性

TECH GOAT PARTNERS法律事務所では、飲食店運営者向けの顧問契約をご準備しております。トラブルは突発的に発生するため、日ごろから気軽に連絡が出来る顧問弁護士を用意しておくことでトラブルへの対応を迅速に行うことができるようにしましょう。

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